あなたはメキシコに対してどのようなイメージがあるだろうか。メキシコは中南米に位置しながら、NAFTA(北米自由貿易協定)に入るなど先進国の影響を多く受けている国で日本とも古くから交易があり、メキシコは自動車産業で有名な米デトロイトになぞって”ミニ・デトロイト”とも言われている。今回はそんなメキシコ市場において飛躍的な発展を見せる自動車産業と日系自動車メーカーのメキシコ進出をまとめてみた。
メキシコの実質GDP成長率は2013年からアメリカの成長率と比べても大きくなっており、今後それは拡大すると予測されている。特に今後南米市場をターゲットにする際のハブとしてもメキシコは重要なアクターとなる。
現在世界各国の自動車メーカーがメキシコに集まってきている。年間の生産台数は305万台。中国、アメリカに続き日本が963万台で世界3位である一方、アジアの生産拠点と言われるタイ(246万台)やカナダ(238万台)を抜いて世界8位につけている。
輸出台数で見てもメキシコはすでに自動車メーカーに欠かせない国になりつつある。北米自由貿易協定(NAFTA)によって主に北米を相手にしたその輸出台数は世界4位の242万台。メキシコで生産した自動車をアメリカやカナダ、または南米に売買する動きが活発化している。
なぜこのように世界の主要企業がメキシコを目指してくるのか。それには前述した北米が貿易相手国になる他2つ理由がある。
参考:Diamond Online(http://diamond.jp/articles/-/70255)
① 世界46カ国とのFTA
メキシコは世界46カ国とFTA(自由貿易協定)を締結し、南米の国々との協定も多いため、欧州・アジアの国にとっては好都合といえる。特に日系自動車メーカーにとっては、現在EU-日本間、米国-日本間のFTAがない状況でメキシコをハブとして用いるのは大きなメリットがあるといえる。
② 安価な労働力
メキシコの首都メキシコシティにおける製造業の賃金は月額309.2ドル~からと非常に安い。これは米国の賃金の7分の1から9分の1に相当するもので、人件費の安さというのも海外展開する各社にとっては選定の要素といえるだろう。
このようにメキシコは立地的要因と市場が開拓されていない段階にある国として自動車産業にとって切り離せない成長材料となっているのである。
現在メキシコに進出している世界の大手自動車メーカーは5つ。メキシコにおいて50年以上の歴史がある日産自動車をはじめ、GM(米ゼネラルモーターズ)、VW(独フォルクスワーゲン)などである。
日系自動車メーカーでは日産が断トツで68万台を生産している一方、トヨタ・ホンダなどが6万台と現状出遅れている。米などから競合がすでに進出していることや治安に問題があるなど懸念材料があるのもまた事実である。
しかしながら2013年から2016年にかけてトヨタがマツダの工場を使って小型車の製造を開始させ、およそ20万台の製造を見込んでおり日系各社が生産能力の高い新工場を建設するなど自動車輸出のハブとしての存在感は今後さらに高まることが予想される。
Reference:
三井住友アセットマネジメント(http://www.smam-jp.com/market/report/marketreport/1242894_1951.html)
DIAMOND online(http://diamond.jp/articles/-/70255?page=3)
住商アビーム自動車総合研究所(http://www.sc-abeam.com/sc/?p=6839)
旭リサーチセンター(https://www.asahi-kasei.co.jp/arc/service/pdf/979.pdf)
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記事作成:酒井陽大(さかい ようだい)
横浜市立大学2年 2015年2月より5ヶ月間ベトナム・ホーチミンにて現地在住日本人向け情報サイトの営業・企画・編集の海外インターンを行う。
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