社会起業家の出身企業はどこ? 社会貢献をする起業家が経たキャリアを紹介

2019.09.02
企業動向/就活

大学生の中には「将来、起業をしたい!」「社会に貢献できる事業をやってみたい!」と思っている方もいるのではないでしょうか。社会貢献ができる事業をやってみたいと思っているものの、会社勤めをせずにいきなり起業することに不安を抱えている方もいるはず。今回は、将来的に起業を考える方に向けて、社会起業家が立ち上げた事業の紹介とこれまでの社会起業家が積んだキャリアの紹介をします。ファーストキャリアを考える際の参考にしてください。

 

PALETTE(パレット) 倉辻悠平氏 / 西村知晃氏

フィリピンのNPO法人「PALETTE(パレット)」はすべての若者が自分の可能性を発揮出来るようサポートしています。具体的には、フィリピン貧困層若者向け就労支援である「ロールモデル育成PROJECT」、フィリピン貧困層若者向け就労支援である「官民協働事業開発」、日本人若者向け語学学校である「PALETTE SCHOOL」の3事業を行っています。NPO立ち上げに至った背景は、貧しいフィリピンの子どもたちと接して、貧困であるために夢をあきらめなくてはいけない若者を応援したいという思いがあったからだそうです。その背景をふまえ、現在も「経済的貧困下にある若者の”どうせできない”をなくす」をビジョンに掲げて、支援を進めています。

 

CEO兼共同創設者である倉辻氏は大学在学時、フィリピンの貧困問題に取り組むNGOにて活動したのち、リクルートにて約4年間の勤務を経て立ち上げに至りました。共同創設者の西村氏はベンチャー企業でのキャリアを経て現在に至っています。

 

TABLE FOR TWO(TFT) 小暮 真久氏

「TABLE FOR TWO(TFT)」はアフリカの子供たちを支援するためのプロジェクトです。「TABLE FOR TWO(TFT)」のミッションは「『食の不均衡』の解消」です。世界には10億人が貧困によって栄養不良や飢餓などの状態に置かれている一方、20億人以上の数の人が食べ過ぎによる肥満や生活習慣病に悩まされているという世界における「食の不均衡」をなくせないかという思いで立ち上がりました。具体的な事業内容は、企業や団体の食堂で、TFTのガイドラインに沿ったメニューを提供してもらうというものです。大学生の中には自身の大学の学食にTFTメニューがあるという方もいるかもしれません。そのメニューの代金の中には寄付金20円が上乗せされており、アフリカの子どもたちの給食費にあてられます。

「TABLE FOR TWO(TFT)」の代表を務める小暮 真久氏はマッキンゼー・アンド・カンパニー(東京・ニュージャージー)を経て、松竹株式会社で勤めたあとにこの事業を始めました。

 

マザーハウス 山口絵里子氏

「マザーハウス」はビジネスという形で、商品を途上国から発信することで、途上国と先進国を隔てる経済的、精神的な壁を打ち破ることを目指して、途上国の素材を使ってものづくりをし、販売をしている会社です。具体的にはアパレルや雑貨などの製品を販売しています。バングラデシュの天然素材ジュート(黄麻)やレザーを使ったバッグが特に有名です。「マザーハウス」を立ち上げた現社長兼チーフデザイナーである山口氏はバングラデシュに降り立ち、貧困解決をしたいと思って大学院に通っていた頃、「社会を変える源泉は、ビジネスにあるのでは?」と考えるようになり、ジュートに目をつけたそうです。ジュートは、バングラデシュにおいて当時世界の輸出量の90%を占める特産品という位置付けだったのにも関わらず、運搬用の麻袋としてしか使用されていませんでした。そんなジュートを使った製品を「世界の一流ブランドとして浸透させたい」「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という想いを込めてプロデュースしたのが、マザーハウスの始まりです。現在ではバングラデシュのみならず、他の国の製品も多く販売しています。日本国内にも多くのショップがあります。

 

そんな山口氏の経歴は、慶応義塾大学(SFC)に在学中に米州開発銀行(IDB)でインターンを経験したのち、バングラデシュの大学院に進学した際にダッカにある三井物産でインターンをしたという流れです。その後、「マザーハウス」の立ち上げに至っています。

 

エイズ孤児支援NGO・PLAS 門田瑠衣子氏

「PLAS」は、ケニアやウガンダで両親または片親をエイズで亡くした18歳未満の孤児達に対し、「生計向上支援事業」と「ライフプランニング支援事業」を柱として、現地のパートナー団体とともに地域と人に根差したプロジェクトを展開し、エイズ孤児が自らの未来を前向きに切り拓ける社会の実現を目指しています。具体的には、「生計向上支援事業」では家計の経済状況を改善するために技能を提供し、開業のための初期投資を支援しています。また、「ライフプランニング支援事業」は、親に対しては適切な子どもとの接し方や貯金の仕方など家計のプランニングを、子どもたちに対しては将来を描くためのワークショップを開いています。

 

「PLAS」の現事務局長を務める門田氏は、フィリピンの孤児院や国際協力NGOでのボランティア、ケニアでの現地NGOでボランティア活動に参加した際に、HIV/エイズや貧困、医療や教育が行きとどかない現状を目の当たりにしたのち、「PLAS」の立ち上げに携わり、同団体事務局長を経て、現職に至ります。

 

日本ブラインドサッカー協会  松崎英吾氏

視覚障がい者のために考案された5人制のサッカーである「ブラインドサッカー」を広げるため、NPO法人である「日本ブラインドサッカー協会」は、「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」をビジョンに掲げています。具体的には、ブラインドサッカー日本代表の強化を目的とした合宿の開催や国際大会への派遣、指導者育成、普及を目的とした盲学校や特別支援学校への講習会・用具寄贈、講師育成、国内の審判の統括など幅広い活動をしています。

 

「日本ブラインドサッカー協会」の前身は、ボランティア組織であり、事業として立ち上げ直した松崎氏は、「事業を展開して、資金を獲得することで活動の幅が広がる」と考えるようになったことから、1年かけて事業計画を立てて、事業立ち上げに至りました。現在事務局長を務めている松崎氏は、ダイヤモンド社、ベネッセコーポレーションを経ています。

 

ボーダレス・ジャパン 田口一成氏

「ボーダーレス・ジャパン」は、ソーシャルビジネスを通じて社会問題の解決に取り組む、社会起業家のプラットフォームカンパニーであり、また自身も貧困問題や児童労働問題などの解決を目指した10の事業を国内外で運営しています。プラットフォームカンパニーとしては、社会起業をしたい事業者に対して、創業資金・成長資金をはじめ、黒字化するまではマーケティング・広報・デザインなど事業のフロント側のサポート、黒字化以降も人事・労務・経理などバック側の機能をすべて提供します。

 

「ボーダーレス・ジャパン」を創業した田口氏は株式会社ミスミでの勤務を経て、25歳での起業に至っています。

 

ルーム・トゥ・リード ジョン・ウッド氏

「ルーム・トゥ・リード」はアメリカ発の国際NGOです。「世界中の『すべて』の子どもが、幼いうちから読み書きの教育を受け、母国語の本を読めるようにする」というビジョンのもと、「ルーム・トゥ・リード」は子どもたちのために図書館や学校の建設、現地語図書の出版、女子教育支援、読み書き能力育成を進めています。

 

「ルーム・トゥ・リード」を立ち上げたジョン・ウッド氏は、マイクロソフトの幹部出身であり、マイクロソフト時代にネパールを旅行したときに、ネパールの貧困問題を目の当たりにしました。その際に訪れたネパールの図書館には、本が全然なかったそうです。その後、友人に呼び掛けてその図書館に寄付する本を集めようとしましたが、予想以上の数の本が集まったそうです。本を寄付して図書館の方からは感謝されたそう。その後、マイクロソフトを退職し、本もなく教育が受けられない子どものために「ルーム・トゥ・リード」を設立しています。

 

アショカ財団 ビル・ドレイトン氏 / アショカ・ジャパン 渡邊奈々氏

「アショカ財団」は「世界で最も緊急に解決しなければならない問題」を解決するための社会変革を目指し、社会起業家を支援しています。「アショカ財団」はこれまで数々の社会起業家に出資して支援してきました。「アショカ財団」は日本にも拠点を持っており、「アショカ・ジャパン」として活動をしています。「アショカ」は、世界中で、問題自体を生み出している根本の部分にアプローチし本質的な解決に取り組む「アショカ・フェロー」として認定した社会起業家に対して、金銭面のみならず、ビジネスコンサルティングなど様々なシーンで社会起業家を支援をしています。

 

創立者のビル・ドレイトン氏は「社会起業家の父」と呼ばれています。同氏は、ハーバード大学、オックスフォード大学で学んだのち、マッキンゼーでの勤務を経て、カーター政権時代に、アメリカの環境保護庁(EPA)の長官補佐官として京都議定書の「排出権取引」を考案しました。その後、「アショカ財団」を設立しています。

 

「アショカ・ジャパン」の創立者は日本人の渡邊奈々氏であり、カメラマンとしてニューヨークで独立していた。アメリカでは雑誌『VOGUE』をはじめとする人気のファッション誌に写真を提供していたほか、東京、ニューヨーク、上海、ベルリンなどで個展を開いていました。その後、日本に一次帰国した際に様々社会問題を目の当たりにし、それらを解決しようとしている社会起業家の存在も知ることになり、社会起業に向けてチャレンジしている若者たちの姿を撮影し、日本の雑誌で特集を組むことになったそうです。その後も社会起業家の活動には注目しており、ビル・ドレイトン氏と会った際に日本支部設立ことになったそうです。

 

グラミン銀行 ムハマド・ユヌス氏

バングラデシュで立ち上がった「グラミン銀行」は、「貧困のない世界を創る」というビジョンのもと、土地などの担保を有さない貧困層に対し融資を貸し出す金融機関であり、設立後銀行と共に同氏はノーベル平和賞を受賞しています。「グラミン銀行」は吉本興業とも提携を結び、「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」という新会社を設立しています。最低7年特定の地域で暮らす芸人である「住みます芸人」が、地域住民や町長・村長、地場企業に加え、スタートアップ企業を巻き込み、地域の問題をソーシャルビジネスとなる事業を考えます。ボランティアではなく、経済的に自立することで、持続的に事業を展開することを目指しています。まだ始まったばかりですが、考えられたビジネスプランが具現化しつつあります。

 

「グラミン銀行」を創設したムハマド・ユヌス氏は、バングラデシュのチッタゴン大学で講師を務めたのち、大学で経済学博士号を取得しています。その後、チッタゴン大学経済学部の学部長に就任しました。1974年の大飢饉がきっかけで貧しい人の救済運動を始め、83年にグラミン銀行設立に至っています。

 

まとめ

社会貢献を事業を立ち上げる社会起業家は世界中にたくさんいます。今回取り上げた社会起業家は、そんな社会起業家の中のごくわずかです。大学を卒業してすぐ立ち上げる人や会社勤務を経て立ち上げる人など様々ですが、私たちの身近にある日本の有名な企業に勤めていた人も少なくはありません。起業する前に、まず企業で働こうと考えている場合は、様々なポジションを経験できる会社を選ぶのもいいかもしれませんね!

 

参考文献

https://b-monster.fit/article/tft01

 

http://www.kaigaiseikatsu-supli.jp/message/messe11/page1.html

 

http://sbrc.kyushu-u.ac.jp/about_yunus.html

 

https://laughmaga.yoshimoto.co.jp/archives/14087

 

https://www.shigoto-ryokou.com/article/detail/241

 

https://toyokeizai.net/articles/-/105331

 

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO43937940Z10C19A4000000/

 

https://www.dreamgate.gr.jp/contents/case/interview/35226

 

https://globis.jp/article/2296

 

https://www.projectdesign.jp/201409/figure/001562.php

 

https://blogs.itmedia.co.jp/saiqos/2010/03/post-0298.html

 

https://www.huffingtonpost.jp/2013/05/11/ashoka_n_3249471.html

 

https://www.plas-aids.org/activity

 

https://www.amita-oshiete.jp/column/entry/014752.php

 

https://journal.rikunabi.com/p/career/24935.html

 

http://www.b-soccer.jp/about/about_info

 

https://www.pa1ette.org/outline/


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