私たち日本人には身近とはいえない、知ってはいるがわかっていないイスラム教についてPodCastのオトナカレッジ、茂木誠先生の言葉から紹介します。
「日本人は無宗教だ」とよく言いますが、実はそうではないのです。クリスマスに正月に、と入り交ざっていますが、これは日本人だけに当てはまることではないのです。実はキリスト教が広まる前のヨーロッパの、古代ローマやゲルマン人の間でも同じことがありました。
いろいろな宗教が混ざっていることを“混合宗教”、“シンクルティズムと言います。例えば、日曜日・月曜日は英語でSunday、Mondayです。このSunは太陽、Monは月を意味します。さて、火曜日、水曜日はTuesday、Wednesdayですが何を意味するでしょうか。これらはすべて、昔の神の名前です。ゲルマン人の神様の名前です。そこにキリスト教が入り、「神様を祀ってはいけません」となり、混ざってしまったのです。
日本は無宗教ではなく、多神教です。その逆は一神教であるユダヤ教・イスラム教・キリスト教です。しかしこれらの宗教が世界に広まるためには、もともとの多神教を上手く取り込まなくては受け入れてもらえませんでした。そこを上手くするため、もともとヨーロッパの冬至の祭りにあったツリーやトナカイを取り入れ、イエスの誕生日と結びつけたのです。考えれば、暑い中東で産まれたはずのイエス様と寒い国にあるツリーやトナカイという組み合わせは不自然ですね。
イスラム教は一神教であるため、神は祀ってはいけません。その後、イラン・アラブ・トルコにも広がっていきます。ここでまた、布教のためにはうまく他の宗教を取り込まなくてはなりません。そして混ざり、ゆるくなっていったものを「シーア派」と言います。
シーア派とは簡単にいうと、「血統」です。予言者ムハンマドの一族が特別な力をもち、また、ムハンマドの一族だけが指導者です。もともとイスラム教になじんでいなかったイラン人たちが、アラブ人に押し付けられ、彼らのもとの宗教と混ざったものがシーア派です。
対してスン二派は教典重視です。教典に書いてあることを一字一句まげない、厳格なものです。“スン二派=教典”。原理主義に走りやすいものも、スン二派です。アラブ人のほとんどがスン二派で、全体では9:1でスン二派のほうがシーア派より多いです。
イスラム原理主義という言葉をよく聞きますが、原理主義≠過激主義です。ISはスン二派の原理主義のなかのさらに過激主義です。必ずしも、スン二派の全員が過激主義ではありません。それではなぜ台頭してきたのでしょうか。
ひとつは、イスラム教はまだ若い宗教であるからです。歴史は1400年。キリスト教の歴史は約2000年で、今は丸くなったといわれていますが、昔は異端審問などを行っていました。その段階が今のイスラム教なのです。
二つ目はヨーロッパの植民地になったためです。それにより、貧富の差が大きくなり、差別もされるようになりました。平等を重んじる宗教であるイスラームは貧富の差に大変敏感です。結果、ヨーロッパ文明に対する反発からコーランに戻ろう!となり、原理主義の過激派が発足しているのです。
イスラム教について少し理解は深まりましたでしょうか。今日から中東のニュースがわかりやすくなるはずです!
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記事作成: 森美月(もり みづき)
甲南大学3年/バンコク育ち/バックパッカー/春からベトナムインターン10ヶ月予定
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