(画像参照:ISUZU)
タイ・バンコクを少し歩いてみると、想像以上に日系自動車が走っていることがわかる。近年急激な経済成長を遂げるタイの自動車産業において日系自動車メーカーのシェアは8割を超えている。今回はそんなタイにおける日系三大メーカーのタイ戦略を調査した。
タイでは1トンピックアップトラックが国民車とされている。悪路が多く、仕事・プライベートの両方で乗り心地のよい自動車としてピックアップトラックはタイでは最良の選択なのだ。農業に従事している人口も多いという理由もあげられるだろう。
親日国であるタイではまだまだ土地代・人件費が安く、ほとんどの部品を現地で手に入れることができるためコストを抑えながらの生産・販売が可能になる。自動車市場のハブとして機能を担う同国への関心は高まる一方である。
実際にトヨタ、いすゞ、三菱自動車がこれまでにタイでの1トンピックアップトラックの生産を開始しており、日本では生産・販売していない車種もある。
2014年の販売シェアで圧倒的な存在を示しているのがトヨタ自動車である。シェアは全体の3割を超え、以前紹介した新興国戦略「IMV」が見て取れる。
2003年にタイに生産拠点を構えて以降、現在まで人員数は1,400人まで増員。特に1トンピックアップトラック「ハイラックス」の需要はタイに止まらず、世界100を超える国と地域に輸出、タイのトヨタは世界市場の最大拠点としての役割を担っているのである。
プリディヤトーン副首相もトヨタの新型車が同国内で生産された部品を9割以上使用している点に触れ、「輸出の押し上げにつながるとともに、停滞気味の経済を刺激してくれる。」と肯定的にとらえている。自動車産業を通してその国を豊かにするというトヨタの基本理念がタイでも受け入れられている。
タイ市場においてどこよりも早い1950年代から現地生産を開始したいすゞ自動車は現在シェアで全体の第2位(18%)につけている。そんないすゞ自動車も同様にピックアップトラックを生産している。
いすゞが生産している1トンピックアップトラック「ディーマックス」は14年の生産台数は95,553台でこちらもトヨタに次ぐ2位。11年のタイのピックアップトラック市場でベストセラーとなって以降、トヨタの背中を追っているというのが現状である。
一方で両者とも超えるべき壁がある。タイでは日本の下請けとしての考えが浸透し、自分から考えて動くというスタンスがとれていないため生産管理を現地人に任せることは困難を極めている。トヨタも米市場で開発責任者を出すまでに30年以上も費やしている。トヨタが優勢な状況ではあるが、いすゞがこれまでのノウハウを生かしてより現地に密着できれば今後の市場優位は変わってくるかもしれない。
Reference:日本経済新聞(http://www.nikkei.com/article/DGXLZO88837300T00C15A7TJC000/)
ISUZU(http://www.recruit.isuzu.co.jp/shinsotsu/about_truck/staff_08.html)
日本経済新聞 トヨタ、タイで開発「自立」
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記事作成:酒井陽大(さかい ようだい)
横浜市立大学2年 2015年2月より5ヶ月間ベトナム・ホーチミンにて現地在住日本人向け情報サイトの営業・企画・編集の海外インターンを行う。
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