「不格好経営」は現DeNAの取締役で元社長の南場智子氏が自身初めてまとめたDeNAの創業から今までの様々な困難と成功を描いたものになっています。DeNAという社名を聞いて、ピンとくるあなたやDeNAベイスターズで耳にしたことがあるくらいの方もいるかもしれません。今回は超一流コンサルタントとベンチャー創業者の両方の立場を経験した南場氏の著書から「コンサルタントと実業家の比較」をしていきます。
この本では主にDeNAと南場氏の生い立ちから事業展開、社長退任そして現在のDeNAを社員などの「人」を多く登場させて描いています。南場氏らしい語り口調で書かれている”ありのまま”のDeNAを見ることができます。
特に注力して書かれているのが、DeNAでの失敗の数々とその逆境を乗り越えてきた成功体験の数々です。本書のタイトルにもあるようにかっこいいと言われる経営ではなく、地道な、今の渋谷ヒカリエにオフィスを構えるDeNAの姿とは一線を画すストーリーは読者にイメージとの違いを提示してくれます。
そして本書の終わりに書かれているのは、南場氏自身が考える生き方であり、多くの人が一度は考えるであろう問いに対する答えです。「MBAの取得、優秀な人の共通点、コンサルタントと実業家の違い」など様々です。こうしたメッセージは進路に迷う若者に多くのヒントを与えてくれるかもしれません。
創業期からの失敗の連続が赤裸々に語られている本書ですが、今のDeNAの姿には南場氏が考える2つの生き方があります。
⒈とんでもない苦境ほど、素晴らしい立ち直り方を魅せる格好のステージだと思って張り切る
⒉必ず後から振り返って、あれがあってよかったね、と言える大きなプラスアルファの拾い物をしよう
マッキンゼーで荒波にもまれながらキャリアを築き、一流コンサルタントとして活躍していた南場氏はあるきっかけからDeNAを立ち上げたものの、創業当初からパートナー企業の信頼を失うような失敗を繰り返します。
それでも蓋をあけてみれば、売り上げは毎年伸び、2011年には球団買収など「何の会社かわからない」ほどサービスは多岐にわたっています。本書で何度も南場氏が述べているようにDeNAの人材がとにかく優秀で多様なことがいまのDeNAを支えているのです。
本書から筆者が特に感じたことは、南場氏が創業したDeNAはとにかくそれまでのマッキンゼーでのやり方とは違うものだったということです。今後就活を控えているあなたも「コンサルタントか実業家か」と悩むかもしれません。実際にコンサルタント志望者の中には、自分で将来経営したいからと考えている方も少なくありません。
コンサルタントは実際にクライアントの経営などにアドバイザーとして参画、提言することでクライアントだけでは解決できかねる問題に対するアプローチを行っていきます。経営に関する知識、創造力と提案力は抜群に伸ばすことができる環境です。
一方で、実業家は本書にあるように、泥臭いところから、1から作っていきます。経営していくに必要な書類も、おおくの人間関係も全て個々人として責任を負い、DeNAも創業当初は1,000万円という資金を南場氏から借金することもあったそうです。
“どちらがよいか”ではなく、どちらも必要とされている組織です。ただ、どちらかのスキルが必ずもう片方でそのまま使えるスキルではない、ということを本書では述べられているように感じることができます。
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