昨年シンガポール初代首相のリー・クアンユー氏が亡くなったが、彼の作ったシンガポールという小国に今世界が注目しています。一人当たりのGDP(国内総生産)は日本を超え、アジアで最も急速に発展した国と言えるかもしれません。そんな現在のシンガポールを支える大学教育の仕組みを見ていきます。
2010年のシンガポール国内の国立大学への進学率は26%程度となっています。この数字には、私立大学やシンガポール国外の大学への進学率は考慮されておりません。意外と低いと考えた方も少なくはないでしょう。
実際には、小学校から始まる激しい教育環境で競争に負けた子どもたちが海外の大学へ進学するケースも多く、シンガポール国内の国立大学へ進学できることは選ばれたエリートのみに与えられた特権であると言えます。
ちなみに文部科学省によると、日本国内の大学進学率は50%を超えています。しかし日本の大学受験に失敗し、海外に挑戦するというのは滅多にありません。シンガポールの大学がいかにハイレベルか理解できるでしょう。
(The Huffington Post)
シンガポールでは、ストリーミング制度(レベル別振り分け制度)を徹底しているため、それを勝ち抜いて国内の有名大学へ進学した学生は企業からも引く手数多となります。現状、日本以上の学歴社会であると言えるでしょう。
学歴による賃金格差は明確であり、アメリカと同様に特に博士を持つ人間は高給を手に入れることができるようになります。また、学歴だけではなく、学校での成績までもが初任給や賃金の決定に対して重要な要素となるため、日本とは異なり、大学時代の学業へのコミットもとても大切なこととなります。
大学での学び、ひいては教育こそ就職後との昇給やキャリア形成にも大きな影響を与えるため、シンガポールの大学生は日本とは比べものにならないほど真剣に勉学に取り組むのです。
シンガポールでは海外の有名大学の分校が多数存在しています。ドイツのミュンヘン工科大学や、フランスのインシャードビジネススクールなど、シンガポール国内の学生だけでなく、国外の留学生に対しても教育の門戸が開かれています。
またシンガポールは有名企業のアジアのヘッドクォーターが数多く誘致されているため、シンガポールの現地の大学を卒業したあと、そのままシンガポールに誘致された有名企業に就職する学生も多いのが特徴です。もともとそのような企業に就職することを見据えてシンガポールに留学する学生もいます。
このように有名企業を誘致することで、優秀な学生を世界から惹きつけ、シンガポールで就職してもらい国力を高めることが出来ていることは、近年のシンガポールの成長要因の一つと言えるかも知れません。競争を失い、停滞感がぬぐえない日本とは対照的なグローバルな国つくりは今後の世界の縮図とも言えるのではないでしょうか。
参照:
文部科学省(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/houdou/__icsFiles/afieldfile/2014/08/07/1350732_01.pdf)
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