自動車部門において国内だけでなく、世界規模でその地位を確立し、世界販売台数1,013万台で第1位になっているトヨタ自動車(2014.09.11 会社四季報 業界地図参照)。ハイブリッド技術で他の追随を許さず、有力部品会社を傘下にすることで世界的に展開しているトヨタが行う新興国戦略と「IMVプロジェクト」についてご紹介します。
2000年まで先進国においての自動車産業で圧倒的な強さを誇ってきたトヨタ。自動車産業を通じた国の発展をかかげるこの大企業は現在、発展著しい新興国にそのターゲットを移行しつつある。
上の図が示すように2000年の時点で新興国における販売比率は18.6%だったのに対し、2011年には45.0%にまで上昇している。特に2008年からわずか3年で35%から10%増加。トヨタの新興国進出・事業拡大は急激かつ着実に進んでいるのである。
背景にあるのは1960年代から始まったASEAN地域への輸出と現地生産。アジア通貨危機が招いた危機的状況の立て直しなどの経験がトヨタの海外ビジネスの礎となっている。「日本で生産、輸出する」から「世界規模での効率的な生産・供給」へとトヨタの海外ビジネスはシフトしている。
トヨタのIMVプロジェクトとは2004年に開発された新興国向けのピックアップトラックやミニバンを中心に、世界の各地にある潜在的なニーズに応える戦略である。
実際に2015年5月にはタイで新型ハイラックスを発売。これは日本では発売されていないモデルで、現在世界190ヵ国以上で販売されている。このように日本にこだわらず世界的な生産体制を敷くことで生産拠点を集約し、コスト低減と効率性をはかることができるという。
新興国での競争が激化する中、トヨタは燃費性能を向上させるだけでなく複数のモデルと共有できる部品の使用し、現地調達率を向上させることによって価格の上昇をわずか一割に抑えている。トヨタだからこそできる技術によっって性能向上と価格低減を実現したのである。
全世界でのトヨタの生産工場数は60以上。販売国数160ヵ国以上。駐在員数はおよそ2000名にのぼる。もちろんトヨタはグローバル人材育成にも力を入れている。
入社前の希望する内定者に対してペンシルバニア大学への短期留学プログラムをはじめ、入社10年までに原則全員が海外事業、海外機関派遣を経験することとなっており、若手のうちから世界で通用する人材となる体制が整っている。
このようにトヨタでは積極的に世界の舞台に出て活躍するチャンスが多くある。国内にとどまらない現地を巻き込んだトヨタの事業は車によってその世界を変える可能性すら含んでいるのではないだろうか。
Reference:
TOYOTA アニュアルレポート2012(https://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/annual/2012/feature/)
Newsclip.be(http://www.newsclip.be/article/2015/07/03/26147.html)
日本経済新聞(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21I5S_R20C15A5TI1000/)
TOYOTA RECRUITIG SITE(http://toyota-saiyo.com/biz/)
______________________________________________________________________________________________
記事作成:酒井陽大(さかい ようだい)
横浜市立大学2年 2015年2月より5ヶ月間ベトナム・ホーチミンにて現地在住日本人向け情報サイトの営業・企画・編集の海外インターンを行う。
あなたの様々な疑問や不安に、 GlobalWing専属のキャリアコンサルタントが マンツーマンで対応しております。